上品なエコ回収
1方、17番元素の塩素(Cl)原子は、ナトリウムの場合とは逆に、定数8の軌道に7個の電子しか存在しませんので、機会あらば、どこかから電子1個を取り込むことによって安定構造をとりたいと願っています。
本来、塩素原子は軌道に17個の電子が存在しているからこそ電気的中性が保たれるのですが、電子1個を取り込んだ場合はe−が1個余分にあるわけですから、原子全体としての電気的中性がくずれ「−1(e-)」の状態になり、原子Clに対して「Cl-」で表わし、塩素イオンと呼ぶのです。
負(マイナス)の電荷を持っているのでマイナスイオンあるいは陰イオン(特に−が1個ですので1価の陰イオン)と呼ばれます。
いま述べましたことを化学式で表わしますと塩素原子塩素イオシ( 陰イオシ) 正切電荷C l → C l − + e +となります。
すでに述べたことですが、このようなナトリウム原子と塩素原子とが出合えば、まさに、互いに「渡りに舟」で、正(プラス)電荷と負(マイナス)電荷には引力がはたらきますので合体しないはずがありません。
電池内の化学反応、電池で電気がつくられることを理解するための下準備ができました。
まず、イタリアの Pが1800年に発明しました乾電池( P電池)の原理を説明します。
希硫酸(H2SO4)のように電気が流れやすい溶液(電解質)に金属を挿入しますと、金属は溶液に溶けて金属イオンになる傾向があります。
たとえば、亜鉛(Zn)と銅(Cu)を希硫酸の中に入れますと、それぞれ2価の陽イオンである亜鉛イオン(Zn2+)、銅イオン(Cu2+)となって希硫酸中に溶け込み、イオン1個あたり2個のe−を生じます。
ところが、亜鉛の方が銅よりイオンになる傾向(イオン化傾向)が大きいので、亜鉛中に生じるe−は銅中に生じるe−よりも多くなります。
このような状態、電位差が生じた状態の亜鉛(−電極)と銅(+電極)とを導線で結びますと、導線内をe−が亜鉛側から銅側へ移動して行くのです。
電流(電荷の移動)そのものです。
乾電池の発明は、化学的エネルギーが電気として取り出せることを示した画期的なものでした。
なお、電圧の単位のボルト(v)は乾電池の発明者・ Pにちなんだものであり、1ボルト(v)という電圧の大きさも、この Pの電池の電位差が約1ボルトであることが基準になって決められたのです。
いずれにせよ、上記の化学反応が進行するにつれて、硫酸(H2SO4)は硫酸亜鉛(ZnSO4)に変化して行き、電解質としての能力を失った時、乾電池としてのはたらきも終えるのです。
つまり、乾電池は電池内の電気がなくなると2度と電池として使用できない1次電池です。
乾電池の歴史は古いのですが、現在では材料などのさまざまな改良により、水銀電池、酸化銀電池、アルカリ電池などが開発されています。
特に、アルカリ電池は同じ電気量(起電力)を得るのに小型化、軽量化が可能ですので、小型、軽量を特徴とするさまざまな(−電極)と過酸化鉛(+電極)とを導線で結びますと、図22のように導線内をe−が鉛側から過酸化鉛側へ移動して行くのです。
次に、蓄電池について説明します。
希硫酸(H2SO4)の中に鉛(Pb)と過酸化鉛(PbO2)を入れた場合のことを考えてみます。
鉛が鉛イオン(pb2+)となって希硫酸中に溶け込み、イオン,個あたり2個のe−を生じるのは乾電池の場合と同様ですが、この鉛イオンはさらに希硫酸と反応して硫酸鉛(pbSO4)になるとともに、2個の水素イオン(H+)を放出します。
1方の過酸化鉛には希硫酸中でイオンとして溶けにくい性質がありますので、鉛側では電子(e-)が過剰になり、つまり電位差が生じ、鉛導線濃度が減少し、硫酸鉛と水が増加して行き、電池としての機能が失われます。
このような状態の電極間に充電器で電流を流しますと、硫酸鉛と水が電気分解して、鉛、過酸化鉛および硫酸が再生され、電池としての機能が復活するのです。
つまり、蓄電池は1度電池としての機能を失っても充電によって繰り返し利用できる2次電池です。
2次電池の中で、近年多用されているのはニッケル・カドミウム電池です。
小型化が可能である上に、充電再利用が可能な2次電池でありながら、従来の蓄電池では困難であった密封を可能にしたことによります。
アポロ計画で宇宙船に用いられたことで1般に知られるようになり、将来のクリーンエネルギーの有力候補として期待され、実用化も進んでいる燃料電池は、簡単にいえば、水の電気分解の逆の反応を利用するものです。
燃料電池は、基本的には燃料(水素、アルコール、プロパンなど)と空気中の酸素を化学反応させて得られる、水1モルあたり68.3kcal(約287kJ)の化学エネルギーを電気エネルギーとして取り出す装置です。
電極としては、1般に、多孔質炭素やカーボン・ナノチューブが使われています。
白金を電極の表面に蒸着するとイオン化反応が促進されるという白金の触媒作用が知られていますが、白金が高価な貴金属であることが難点です。
また、燃料電池の中には苛性カリやリン酸などの電解質が投入されるのですが、その電解質の種類によってさまざまなタイプに分類され、それぞれ作動温度や利用可能な燃料の種類が異なります。
最近は、ナトリウム、リチウムなどの炭酸塩混合物を電解質とする溶融炭酸塩燃料電池が500〜800℃のような高温での使用に期待されています。
この場合、温度が高いので反応速度が大きく、白金触媒が不要という大きな利点があります。
現時点では、まだコストが高いのですが、性能向上と大量生産により、将来的には広範な分野での普及が期待されています。
何しろ、必要とする燃料が水素であり、廃棄物あるいは副産物が水というのは大きな魅力であり、地球環境の保全を考えるならば、どうしても実用化し、普及させたいエネルギー源であります。
ところで、余談ながら、燃料電池を1躍有名にしたのは、映画にも、小説にもなっているアポロ13号の事故でしょう。
1970年4月、アポロ13号はアポロ11号、12号に続き3度目の月面着陸を目指して発射されました。
アポロ13号には、水素と酸素を反応させ、宇宙飛行に必要なすべての電力を供給する燃料電池が3基備えられていました。
副産物の水は3人の乗組員の飲料となります。
水素と酸素の燃料を供給するのはそれぞれ2基のタンクでした。
月に向かう飛行中、宇宙船製作技師のじつにささいなミスが原因で、酸素タンクの爆発事故が発生し、水素と酸素の2基のタンクが吹き飛び、3基の燃料電池がいずれも使用不可能になってしまったのです。
燃料電池が駄目になるということは、電力供給が止まるということのみならず、飲料水が供給されないということです。
また、酸素の喪失はミッションの継続を不可能にしたばかりか、乗組員の生命をも危機にさらしたのです。
結局、乗組員の奮闘と地上管制官たちの支援によって、地球から約40万km、月まで約250kmの距離から奇跡の生還を果たしたのでした。
ところで、「13」という数はキリスト教徒が最も忌み嫌う数です。
打ち上げはヒューストンの現地時間で13時13分、事故発生は4月13日でした。
「13号13時13分」という数字は、アメリカの科学・技術が迷信を打ち破るという証明のためにあえて選ばれたものらしいのですが。キリスト教徒が最も忌み嫌う数の「13」に対し、中国人や日本人が末広がりとして好む数は「八(8)」です。
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